オリーブの苗木が
香川県小豆島に植えられてから110年余。
この年月はオリーブが食品や化粧品として、
暮らしに身近なものになるまでの
苦節の110年余とも言えます。
生産者がなんとか栽培を続けようと
創意工夫と努力を重ね、
築き上げた基盤があってこそ、
高品質なオリーブオイル生産が
可能になっています。
切磋琢磨している様子を少し見てみましょう。
創意工夫で、世界レベルに
世界から高い評価を受ける品質に至った取り組みの例として、生産者が個別に導入した「小型採油機」の存在があります。オリーブオイルは、品種・気象条件・管理方法・収穫時期などによって、味も香りも多彩に変化します。
技術の向上を目指した、たゆみない努力
NPO法人小豆島オリーブ協会などによるカタドール(鑑定士)育成事業により、オリーブオイルの官能特性を把握し、その品質を判断できる鑑定士の育成を実施して、高品質なオリーブオイルを安定して生産できるようになりました。また、県では平成28年にオリーブオイル官能評価パネルを設置。これにより、香川県のオリーブオイル生産者は、採油技術の研修や品評会(オイル、園地)なども積極的に参加し、更なる技術向上に努めています。
かがわオリーブオイル品質表示制度を設置
現在、日本では、エキストラバージンオリーブオイルの品質を示す基準がないため、平成26年に香川県は独自に品質表示制度を設けました。衛生面や製造設備の規定を満たす県内の事業者が対象。化学検査に加え、官能評価を行います。2種類のマークがあり、「国際オリーブ理事会(IOC)」が定めるエキストラバージンオリーブオイルの基準に沿うものを「スタンダード」。さらに高品質なものが「プレミアム」です。
権威ある国際コンテストに次々と入賞!
「FLOSOLEI(イタリアで出版している世界オリーブオイルガイドブック)」、「ロサンゼルス国際エキストラバージンオリーブオイル品評会」のほか、「OLIVEJAPAN」コンテストなどの権威ある国際品評会で次々と受賞。2021年のFLOSOLEIでも、香川県から出品した7社が、掲載され、いずれも84点以上の評価を受けました。香川県産オリーブオイルは、味と香りの評価である官能評価でも高く評価されています。
進む利用技術
採油後の果実や水分、葉も丸ごと有効活用する技術も世界随一。例えば、採油後の果実を飼料に混ぜて育てた「オリーブ牛」「オリーブ夢豚」「オリーブ豚」「オリーブ地鶏」や、オリーブの葉を入れた餌で養殖した「オリーブハマチ」や「オリーブマダイ」。これらは生産が追いつかないほど大人気。さらに、採油時に出る果汁やオリーブの葉から抽出した高濃度のポリフェノールを活用したエキスは、さまざまな食品や化粧品に展開しています。
1世紀をこえる歴史
1907年(明治40年)に、農商務省の指定を受け、翌年4月22日に、香川県農事試験場(当時)が、香川県小豆島でオリーブの苗木を植栽。これが、日本における産業としてのオリーブ栽培の始まりです。その後、小豆島を中心として食品産業を発展させる基盤整備や、オリーブの島とした観光PRを積極的に展開。地道な取り組みが功を奏し、小豆島をはじめ、香川県は日本一のオリーブの産地としてイメージを確立してきました。